アジャイルExcel-メリットとデメリット(2) デメリット
次にExcelを技術文書作成に用いるデメリットをまとめる。メリットについてはこちら
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意図通りに印刷できない
これは本シリーズの冒頭で触れたように、Excel否定論者の指摘する数少ないもっともなExcelの欠点である。前述したように、Excel上での閲覧を前提にすればデメリットとはならないことは言うまでもない。
目次や連番の自動生成機能がない
これも従来の紙やPDFを前提としなければ大きな問題とはならない。代わりにExcelの豊富なナビゲーション支援機能を活用すれば、目次や連番以上の使いやすさを実現可能である。
本シリーズでは、参照や編集を助けるナビゲーション支援機能の活用方法を紹介していく
長文のテキストのメンテナンスがしづらい
確かに複数の文章で構成する長文はExcelだと扱いづらい。
しかし、そもそも仕様書や設計書に長文が含まれるのはおかしくないだろうか?ほとんどの場合、単に著者の頭が整理されていないだけだ。
そのような文書を読む人間、そして後でメンテナンスする人の身になってほしい。アジャイル開発では負債でしかない。
使い手のレベルが低いと編集や再利用しづらい文書ができる
例えば以下のようなものが挙げられる。
- 1文字1セル
- 複雑な数式やセル結合
- 隠し〇〇
- 検索できない文字列(テキストボックス)
これは自由度のあるツールなら何でも、例えばWordでも言える話であり、他のツールと同様、ルール・ガイドラインが必要である。
本シリーズでは、編集や再利用しやすい文書を作るためのルール・ガイドラインを提案していく
編集履歴やバージョン管理ができない
Microsoftの最新のサービスを使用すれば可能であるが、顧客が環境を提供し、使用を強制するのであればまだしも、自分も含め多くの人が特定の有料サービスへのロックインには抵抗があるのではないだろうか。
そういった場合、開発現場で一般的に使われているWinMergeのプラグインを用いれば、Excelであってもテキストレベルでの差分は取ることが可能である。ExcelファイルをVCSで管理して、バージョン間の差分はWinMergeのプラグインを使えば、ほとんどのユースケースはカバーされると考えられる。
ソースコードでもそうだが、複雑なマージが必要になるというのは、そもそものプロセスの設計が悪いのではないだろうか?
共同作業がしづらい
Microsoftの最新のサービスを使用すれば可能であるが(以下略)。
そういった場合、ファイルを適切に分割するのが吉である。ソースコードでもそうだが、複数人が同じファイルを操作するのは事故回避の面から原則、避けるべきであり、適切なファイル分割で回避する問題である。
まとめ
以上が筆者の認識するExcelのメリット・デメリットである。もしその他あったらご指摘いただければ幸甚である。メリットが絶大であること、デメリットを軽減する使い方が重要なことをお分かりいただけたと思う。
それでは、デメリットを軽減し、メリットを享受する使い方を順に説明していく。